うさぎが天敵に追われた直後、何事もなかったかのようにけろっと草を食べている様子を見たことがありませんか?
野生動物は命の危機に直面した後でも、すぐに日常に戻れるのです。羨ましいですね。
要はトラウマとして残らないようです。
一方、私たち人間は「嫌な上司の顔を見ただけで胃が痛くなる」「義母の家に行く前から頭痛がする」といった経験をすることがありますね。
私の経験から
以前の職場でのこと、ある決まった時間になると頭痛がひどくなり、帰り道の電車の中でその頭痛が和らぐといった現象が毎日のように起こりました。
この現象が1ヶ月ほど続き、人間関係が耐えられない職場でもあったので転職したところ、その頭痛は自然と無くなりました。
この経験を通じて、私は体と心の関係について深く考えるようになりました。
なぜ職場というストレス環境で頭痛が起き、そこを離れると症状が消えるのか。そんな疑問を抱えていた時に出会ったのが、ソマティックという考え方でした。
ソマティック(Somatic)とは
ソマティックとは:
- ギリシャ語の「soma(身体)」に由来
- 「身体の」「身体に関する」という意味
- 心理学では「身体感覚の」「身体体験の」
- 身体を通じた体験や気づきを指す
心と身体は繋がっている
私の頭痛は単なる身体症状ではなく、ストレス環境に対する心と体からのメッセージだったのかもしれません。
心と身体で嫌な記憶を覚えてしまっていたのです。大なり小なりあると思いますが、トラウマですね。
なぜ動物と人間は違うのか
ソマティックの視点から見ると、人間と動物のストレス対処の違いが明確に見えてきます。うさぎは追われた直後でもケロッとして草を食べれる。私の場合は頭痛。。。この違いはなんなのでしょうね。
これがソマティック的な視点で説明できるのです。
動物の場合:シンプルな反応
1. 危険を感じる → 逃げる or 戦う
2. 危険が去る → 体の緊張を解放
3. すぐに普段の生活に戻る
人間の場合:複雑な反応
1. 危険を感じる → 「なぜ私だけが...」と考える
2. 過去の記憶と結びつける → 「前もこんなことが...」
3. 未来を不安視する → 「今度はどんな嫌なことが...」
4. 考えれば考えるほど、身体の緊張が抜けない
私の場合も、職場での人間関係に対して「なぜこんな状況になるのか」「いつまでこれが続くのか」と考え続けることで、本来なら自然に解消されるはずのストレスが、頭痛という形で蓄積されていったのかもしれません。
なぜ人間はストレスを抱えやすいのか
人間の特徴
1. 高度な思考能力
- 状況を分析する
- 意味を探そうとする
- 過去と未来を結びつける
2. 記憶の複雑化
- 嫌な経験を言葉で記録
- 感情を重ねて記憶
- 類似体験を結びつける
3. 社会的な制約
- 「怒りを表に出してはいけない」
- 「我慢するべき」という価値観
- 感情や反応の抑制
動物から学ぶストレス解放のヒント
人間は思考が邪魔をするので、トラウマ解消に時間がかかります。
動物の思考は邪魔をしません。
とすると、動物の行動にはストレスを自然に解放できるヒントがあります。
1. 身体に注目する
- 肩の力を抜く
- 深い呼吸を意識する
- 体の緊張に気づく
2. 今、この瞬間に戻る
- 過去の心配は横に置く
- 未来の不安は一旦保留
- 現在の感覚に集中する
3. 自然な解放を許容する
- 感情を抑え込まない
- 体の反応を信頼する
- 安全な場所で発散する
例えば、職場でストレスを感じたら、まずは自分の体の状態に注目してみましょう。肩が凝っていないか、呼吸が浅くなっていないか。そして少しでも安全な場所(トイレや休憩室など)で、深いため息をついたり、肩を回したり。それだけでも、蓄積されていくストレスを少しずつ解放できます。
考える力は素晴らしい力です。でも、人間の「考える力」は、時にストレスを複雑化させたりもしてしまうのです。なので動物のような自然な回復を妨げることがあります。
私の場合、すぐに意味を探そうとすること、執着することが大きな原因でしたね。
小さなことをいつまでも引きずっていたり、相手から蒸し返されたり。
でも、この考える力を他の視点にから使うことによって、意識的に体の声に耳を傾け、ストレスを手放す方法を学ぶこともできるのです。
私の場合、頭痛という体からのメッセージに気づき、環境を変えるという選択をしました。
今の環境に何か違和感を感じていたら、身体からのメッセージも確認してみて下さい。