学生ローン免除プログラムの見直し:トランプの大統領令

トランプ政権が学生ローン免除プログラムを見直し:「違法活動」を支援する組織への免除を制限
トランプ大統領が公共サービスローン免除「Public Service Loan Forgiveness」プログラムの見直しを命じる大統領令に署名しました。
原文はこちら
大統領令の背景と目的
公共サービスローン免除(PSLF)プログラムは、2007年に議会によって設立されました。このプログラムは、公共サービス部門(政府機関、非営利団体など)で働くアメリカ人を奨励するために、10年間の勤務と最低限の返済を行った後、残りの学生ローンを免除するというものです。
トランプ大統領は、この大統領令で前政権(バイデン政権)が免除プログラムを「乱用」したと主張しています。具体的には:
- 法律で定められた返済期間に達していない人にも「免除猶予プロセス」を通じて納税者の資金を使ってローンを支払った
- 必要な職業の人材不足を解消するどころか、「公共の利益に貢献せず、実際には国家安全保障とアメリカの価値観を損なう活動家組織に税金を投入した」
大統領令の主な内容
この大統領令の核心は、「違法な活動に相当する目的を持つ組織」に勤める個人は公共サービスローン免除の対象から除外するというものです。
具体的には、以下のような活動に従事する組織で働く人々がローン免除から除外されます:
-
移民法違反の援助または幇助
- 不法入国や他の連邦移民法違反を支援する行為
-
テロ支援
-
- 「子どもの化学的・外科的去勢や切断」
- 「合法的な親からの解放を目的とした、いわゆるトランスジェンダー保護州への子どもの人身売買」
-
違法な差別の幇助
- 差別を助長するパターンの行為
-
州の不法行為法違反
- 不法侵入、公序良俗違反、公共迷惑行為、破壊行為、ハイウェイ妨害などの法律違反
PSLFは「Public Service Loan Forgiveness」(公共サービスローン免除)の略です。
これは2007年に米国議会によって設立されたプログラムで、公共サービス部門(政府機関、非営利団体など)で働く人々が、10年間にわたって勤務し、その間に120回(10年分)の適格な返済を行った後、残りの連邦学生ローンを免除するというものです。
このプログラムは、教師、看護師、軍人、公務員、非営利団体の従業員など、収入が比較的低い公共サービス職に人材を引き付けるインセンティブとして機能するよう設計されました。
バイデン政権の時に、この免除システムが大々的にニュースとなっていましたね。
私はてっきりバイデン政権が導入した免除システムかと思っていましたが、2007年はブッシュ大統領の政権下、このような背景があったのですね。
米国人質・不当拘束者の日:トランプの大統領令

トランプ大統領、「米国人質・不当拘束者の日」を宣言
2025年3月9日、トランプ大統領は3月9日を「米国人質・不当拘束者の日」とする大統領宣言に署名しました。
原文はこちら
大統領宣言の概要
トランプ大統領は、海外で人質や不当に拘束されているすべてのアメリカ人と、その家族に対する支援を表明しました。大統領は「私たちはあなたを忘れず、見捨てず、安全に帰国させ、拘束者に正義をもたらすことを誓います」と力強く宣言しています。
トランプ政権の成果
大統領宣言では、トランプ政権が就任以来、海外で拘束されていた13人のアメリカ人の解放に成功したことを強調しています:
- ベネズエラで拘束されていた6人のアメリカ人(24時間以内に解放)
- アフガニスタンで拘束されていた2人のアメリカ人
- ベラルーシで拘束されていた2人のアメリカ人
- ロシアで「不当に拘束されていた」ペンシルバニア州の教師
- ハマスに捕らえられていた2人のアメリカ・イスラエル国籍の市民
今後の決意
トランプ大統領は「すべてのアメリカ人が解放され、帰国するまで後退しない」と明言し、海外で不当に拘束されているアメリカ人の解放に向けた断固たる姿勢を示しています。大統領は「力による平和」の原則に基づいた将来を構築する決意を表明しています。
「米国人質・不当拘束者の日」の制定
この記念日は、2023年12月22日に承認された公法118-31により、毎年3月9日と定められました。トランプ大統領はこの日にホワイトハウスで「人質・不当拘束者旗」を掲揚し、国民に対してこの日を記念するプログラムや式典を行うよう呼びかけています。
なぜこの宣言が重要なのか
この宣言は、アメリカ人の安全と自由を守ることが大統領の「最高の義務」であるというトランプ政権の姿勢を示すものです。海外で拘束されているアメリカ人とその家族に対する支援を公式に表明し、国際社会に対してもアメリカ国民の不当な拘束は許さないという強いメッセージを送っています。
また、この宣言は政権が外交政策において「アメリカ・ファースト」の姿勢を堅持していることを改めて示すものとなっています。
怪しい法律事務所:トランプ政権の大統領行動(Presidental Actions)

怪しい法律事務所、Perkins Coie LLPに関する内容がホワイトハウスのサイトに発表されていました。
原文はこちら
トランプ大統領による法律事務所への制裁
2025年3月6日、トランプ大統領はパーキンス・コイという法律事務所に対する大統領令に署名しました。なぜこの法律事務所なのか、どのような措置が取られるのかを簡単に説明します。
なぜパーキンス・コイが標的に?
トランプ大統領の主張によると:
- この法律事務所は2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントン陣営のために働き、「偽の情報ファイル」(ドシエ)を作らせて選挙を妨害しようとした
- 億万長者のジョージ・ソロスなどと協力して、投票時の身分証明書提示などの選挙法を無効にしようとした
- 人種に基づく採用枠を設けるなど、自社内でも差別的な雇用慣行を行っていた
大統領令で命じられた主な措置
1. 安全保障上の措置
- この法律事務所の社員が持つ政府の機密情報にアクセスする権限(セキュリティクリアランス)を一時停止
- 政府施設や資料の利用を制限
2. 政府契約の見直し
- 政府と契約している企業は、この法律事務所との取引を報告する義務を負う
- 可能な限り、この法律事務所との政府契約を終了するよう指示
3. 差別調査の実施
- 雇用機会均等委員会に、大手法律事務所の差別的慣行を調査するよう指示
- 人種や性別による採用・昇進枠や、特定の人種への優遇措置などがないか調べる
4. 人事面での制限
- 政府職員がこの法律事務所の社員と公務上関わることを制限
- 特別許可がない限り、この法律事務所の社員を政府機関が雇うことを禁止
この大統領令の位置づけ
この大統領令は、トランプ政権が2025年1月に出した「連邦政府の武器化の終結」という大統領令と関連しています。政治的に対立する相手に対する措置として注目されています。
その関連する大統領令はこちら
「先週何をしましたか?」:イーロン・マスクからのメール

‘what did you do last week?’
先週、アメリカの連邦職員たちは、「先週何をしましたか?」と書かれたメールをイーロンマスクから受け取ったようです。
原文はこちらのニュースです。
ホワイトハウス報道官キャロライン・リーヴィットは火曜日の記者会見で、100万人以上の連邦職員がイーロン・マスクと人事管理局(OPM)の指示に従い、先週の業績リストを提出したと発表しました。
政府効率化部門(DOGE)議長のイーロンマスクは土曜日、連邦職員に前週の業績をリスト化するよう指示するメールを送付すると発表。従業員は月曜日の午後11時59分までにリストを送信しなければ雇用を失うリスクがありました。
Consistent with President @realDonaldTrump’s instructions, all federal employees will shortly receive an email requesting to understand what they got done last week.
— Elon Musk (@elonmusk) 2025年2月22日
Failure to respond will be taken as a resignation.
マスクは月曜日の夜、Xに「大統領の裁量により、(応答しなかった連邦職員は)もう一度チャンスを与えられる。2回目の返信がない場合は解雇となる」と投稿しました。
Subject to the discretion of the President, they will be given another chance.
— Elon Musk (@elonmusk) 2025年2月25日
Failure to respond a second time will result in termination. https://t.co/04xzgScXfj
FBIのカシュ・パテル長官、国防総省、国土安全保障省などの機密情報を扱う一部の連邦機関は、職員にメールを無視するよう指示しました。
トランプ大統領はこれを「友好的な拒否」と表現し、「機密性の高い業務に携わっている人に先週の仕事内容を開示させることは望ましくない」と説明しました。
ホワイトハウスは火曜日、個々の連邦機関がメールに応答しなかった政府職員に対してどのような措置を取るかを決定する権限を持っていると述べました。
リーヴィット報道官は「機関の責任者が特定の機関の従業員に最適な方法を決定する」と説明し、「あなたの所属機関が指示しない限り、このメールに返信するよう連邦職員に助言します」と付け加えました。
トランプ大統領はこの指示を称賛し、「私たちは人々が働いているかどうかを知ろうとしている。もし人々が反応しなければ、そのような人物が存在しないか、彼らが働いていない可能性が非常に高い」と述べました。
以上、引用はここまで。
約100万人の連邦職員どのくらいの人数かというと、全体の約3分の1との事です。
まさにかつて放映されていたトランプのテレビ番組「The Apprentice」のセリフ、
”You are fired"を思い出させる内容ですね。
すべての行政機関を大統領の管理下に置く命令:トランプ政権の大統領令

「全機関の説明責任確保に関する大統領令」という大統領令を紹介します。
主な目的
この大統領令は、独立規制機関を含むすべての行政機関を大統領の監督下に置き、国民への説明責任を強化することを目指しています。
背景と問題点
- 憲法では、行政権はすべて大統領に与えられています
- しかし、「独立規制機関」は大統領の監督をほとんど受けずに運営されてきました
- これらの機関は大統領のレビューなしに重要な規制を作ることができました
- このことは、国民に対する説明責任を弱め、連邦法の一貫した執行を妨げていました
具体的な措置
1. 規制のレビュー
- すべての行政機関(独立規制機関を含む)は、重要な規制を発表する前に大統領府の情報規制局(OIRA)に提出してレビューを受ける必要があります
2. 業績基準の設定
- 行政管理予算局(OMB)長官は独立機関の長に対して業績基準を設定し、定期的に大統領に報告します
3. 予算配分の見直し
- OMB長官は独立規制機関の予算配分を継続的に見直し、大統領の政策と優先事項に沿うよう調整します
4. 大統領府との連携強化
- 独立規制機関の長は定期的にOMBや政策会議と協議し、各機関に「ホワイトハウス連絡官」のポジションを設置します
- 戦略計画はOMB長官の承認を得る必要があります
5. 法解釈の統一
- 大統領と司法長官の法解釈が行政機関の職員に対して拘束力を持ちます
この大統領令により、すべての行政機関が大統領を通じて国民に対する説明責任を持つよう、行政府の構造が強化されます。ただし、連邦準備制度理事会の金融政策についてはこの命令の適用外となります。

