裁判の概要
原告
- Justin Baldoni(映画監督・俳優)
- Wayfarer Studios(Baldoniのプロダクション会社)
- Jamey Heath(プロデューサー)
- Melissa Nathan(危機管理マネージャー)
- Jennifer Abel(広報担当)
- It Ends With Us LLC
被告
- Blake Lively(女優)
- Ryan Reynolds(俳優、Livelyの夫)
- Leslie Sloan(Lively夫妻の広報担当)
訴訟内容
- 損害賠償額:4億ドル
- 訴因:民事恐喝、名誉毀損、プライバシー侵害
- 提訴場所:ニューヨーク南部地区裁判所
ジャスティンバルドーには日本であまり知られていませんが、アメリカの俳優です。主にテレビドラマなどに出演しています。
ブレイクライブリーは、ドラマ「ゴシップガール」でブレイクした女優です。ライアンレイノルズと結婚しています。デッドプール、ブレイド3にも出演している、2枚目なんだか3枚目なんだか、コメディーもシリアスな役もこなし、起業家でもあります。
今回の裁判の主な内容はJustin BaldoniがBlake LivelyとRyan Reynoldsを訴えたというものです。
対立の経緯
事の発端は2023年12月に遡ります。DV(ドメスティックバイオレンス)をテーマにした映画「It Ends With Us」の撮影現場で起きた出来事が、ハリウッドの大物スター同士の法廷闘争へと発展しました。
最初に動いたのはBlake Livelyでした。彼女はBaldoniからのセクハラ被害を訴え、民事訴訟を提起。具体的には、出産シーンでの突然の全裸要求や、インティマシーコーディネーター不在での即興的な親密シーンの強要などを主張し、これらによる精神的苦痛を訴えました。
これに対してBaldoniは、Lively側による組織的な中傷キャンペーンの被害者だと反論。さらに、The New York Timesを相手取り2,500万ドルの名誉毀損訴訟も提起しました。
新たな展開:4億ドルの訴訟へ
今年1月、この対立は新たな段階へと突入します。Baldoniらは、Lively夫妻とその広報担当者らを相手取り、4億ドルという巨額の損害賠償を求める訴訟を提起しました。
注目すべきは、この訴訟で明らかになった映画製作の対立です。特に物議を醸しているのが、この映画の重要なシーンである「屋上シーン」の書き換えを巡る争いです。Baldoniは、Ryan Reynoldsが無許可で脚本を改変し、さらにTaylor Swiftを含めた形で圧力をかけられたと主張しています。
なぜTaylor Swiftが出てくるかというと、この映画の主題歌が彼女の
「my tears ricochet」だからです。
影響
この騒動は、関係者のキャリアに深刻な影響を及ぼしています。Baldoniは芸能事務所WMEとの契約を解除され、女性団体からの受賞も取り消されました。一方、Livelyは精神的トラウマを訴え続けています。
皮肉なことに、この映画は興行収入3億5000万ドルを記録する大ヒット作となりました。しかし、DVの問題を描こうとした作品が、このような形でハリウッドの権力構造と#MeToo時代の複雑さを浮き彫りにすることになるとは、誰も予想していなかったでしょう。
現在も訴訟は継続中で、双方が相手側による中傷キャンペーンの存在を主張し、テキストメッセージなどの証拠を提示しながら、真っ向から対立しています。この事態がハリウッド全体に与える影響について、今後も注目が集まることでしょう。